釣りは目当ての魚があると同時に目当てでは無い魚も釣れてしまいます。それが釣りの楽しみと言えばそれまで。しかし、後者の魚達は必ず食べられる魚達というわけではありません。当然、毒を持った魚達や骨の多いキケンな魚達も釣れるので、それらの魚達は釣り人からすれば嫌われた魚達でもあります。
ただ、キケンの多い魚でも食べるに値しない魚達であって尊い命でもあります。単に嫌いだからという理由で陸に放り投げる行為、また、雑に扱う行為は命を粗末に扱う行為として、釣り人もまた嫌われる存在であることを知る必要があるでしょう。
今回、紹介するのは、釣り人が選ぶ、嫌われた11種類の魚達。何らかの理由によって釣り人から嫌われているメジャーな魚達の存在に迫ります。
もくじ
何のことやら…嫌われた可哀想な魚達
人間同士でも嫌いな人は必ずいると思います。毒舌な人、暴言を吐く人、空気を読まない人、人付き合いの悪い人…。人間関係には好き嫌いがあるように釣行でも嫌いな魚が存在します。例えば、毒を持った魚、また、骨が多い魚、広い範囲で捉えると目的な魚以外の魚を嫌う釣り人も存在します。少し可哀想ですよね。
外道(げどう)が嫌われているとは限らない
外道と呼ばれる存在。本来、外道とは本来の主旨とは外れた魚達のことを指しています。つまり、外道と呼ばれる魚の中にも美味しい魚は存在するので、単に外道が嫌われた魚と位置付けるのは大きな間違いです。例えば、アジを狙っている最中に高級魚として知られるキジハタやメバルが釣れた。このような場合は嬉しい外道と表記される場合があります。
餌取り(えさとり)は少し意味が違ってくる
外道とは似た言葉として知られる餌取りはどうでしょう。本来、餌取りは2つの意味を持っており、1つは目的の魚が食べる前に群がって餌を食べてしまう魚達のこと。2つは小さな個体や小骨が多く食べるに値しない魚達のことも餌取りと呼ぶこと。つまり、前者の場合はベラやアイゴ、カワハギといった釣り人が好む魚達もいることから外道と同じく嫌われているとは限りません。しかし、食べるに値しない魚達である後者であれば嫌われた魚として認識することができます。
嫌われた魚達をランキング形式で発表
釣りでは目当ての魚が必ず釣れる訳ではありません。釣れる魚の中には釣れて欲しくない魚達もいます。それらの魚達は、時には、餌取りとして、また、外道と呼ばれる訳ですが、これらの中には多くの釣り人が共感する “嫌われやすい魚達” が存在します。それらの魚達を集めてみました。嫌われる理由と共にランキング形式にして注目していきます。
1位「フグ」


第一位はフグ。120種類にも及ぶフグ科のほとんどのフグが猛毒を持っています。この毒性はフグ毒とも呼ばれ、テトロドトキシンやサキシトキシン、パトリキシンを持ったフグが確認されています。食用のフグも存在しますが、それらのフグにも毒は含まれています。免許を持たない素人の方が捌いてしまい、食中毒で死亡する事故も相次いでいます。
2位「ボラ」


第二位はボラです。ボラは臭いが強い魚として有名です。ボラは雑食性で、その臭いは生活環境と水質が大きく関係していると言われています。水質が悪い場所で育ったボラは臭く、また、沖で捕れたボラは臭いがきつく無く、美味とされています。
3位「スズメダイ」


第三位はスズメダイ。スズメダイは雀(スズメ)のように小さい魚で夏場の沿岸に大量に発生します。夏は釣りのシーズンでもあるのでスズメダイと出会ってしまうことも珍しくはありません。スズメダイが発生する場合は一匹ではなく、大量に発生するため、アミエビを利用した釣りでは高確率で出会うことになります。
4位「メゴチ」


第四位はメゴチです。投げ釣り、ぶっこみ釣りの外道として知られるメゴチは一匹釣れてしまうと周りに数十匹はいるとも言われる程に釣り人からすると厄介な存在です。メゴチは多毛類が大好物です。メゴチがいる釣り場でアオイソメやゴカイを海底に付けてしまうとメゴチが釣れてしまい、中々、本命に辿り着くことができません。
5位「ベラ」


第五位はベラです。ベラの多くは沿岸付近に棲み処を作ります。釣り人がよく出会うのはキュウセンやササノハベラ、ホシササノハベラの三種。ベラはネバネバとした粘液を発し、また、水っぽい身をしています。天ぷらにすると良しとの見解はあるものの、ベラの取り扱いにくさから、釣り人からは嫌われている存在でもあります。
6位「エソ」


第六位はエソです。大きい個体が多いため、ずっしりとした引きを体験できる魚ではあるものの、エソは小骨というより、中骨、大骨サイズが多く、複雑な配置をしているだけに嫌われる存在となっています。しかし、長崎県や山口県ではエソを利用したカマボコも作られているため、高級練り物として認識されている面があります。
7位「チャリコ」


第七位はチャリコです。マダイの稚魚として知られたチャリコ。真鯛と言うと聞こえはいいですが、チャリコはマダイの稚魚です。稚魚のサイズに厳密な定義は無いものの、画像のような小さなサイズは取り扱いに困ってしまいます。また、水産資源を持続的に利用するためにマダイの稚魚を放流する地域も存在します。チャリコが釣れた場合は取り扱いに困るため、チャリコは釣り人からすると嫌われている存在でもあります。
8位「エイ」


第八位はエイです。毒の尾とも呼ばれるエイは尻尾に太い毒針を持っています。刺されてしまうとアナフィラキシーショックによる症状で死に至ってしまう場合もあります。エイは取り扱いに気を使う他、大きい個体が多いので釣り竿が折られてしまう可能性があります。また、エイはアンモニアの臭いがキツく、血の量が多いために処理が大変です。
9位「ゴンズイ」


第九位はゴンズイです。ゴンズイは背鰭と胸鰭の棘にタンパク毒を含みます。触れてしまうと激痛に襲われてしまうために注意が必要です。釣り人から嫌われている理由は毒の存在だけではありません。ゴンズイは集団で行動する生物でゴンズイの塊はゴンズイ玉と呼ばれています。ゴンズイが一匹釣れると数十匹はいると覚悟しておきましょう。
10位「ハオコゼ」


第十位はハオコゼです。ハオコゼは毒魚の一種で浅い沿岸に生息しています。沿岸付近を拠点とした釣り人は出会う可能性も多いので注意が必要です。ハオコゼの背鰭にはタンパク毒を含む毒棘があり、触れてしまうと激痛が襲います。小さい個体が多いのも特徴で食べるに値しない毒魚として釣り人からは嫌われています。
11位「キタマクラ」


第十一位はキタマクラです。一見、フグのように見えるキタマクラ。その通り、キタマクラはフグ目・フグ科に属するお魚です。キタマクラも水深の浅い沿岸付近にいるため、釣れてしまった場合には注意が必要です。キタマクラはテトロドトキシンと呼ばれる猛毒を体内に秘め、食べると死に至る魚として認識されています。
嫌われた魚にも…それなりの理由がある!
嫌われている魚にも何らかの理由があります。例えば、テトロドトキシンを含むことから食べることができない魚達、取り扱いに注意が必要な魚達、小骨が多く、食べるに値しない魚達・・・。キケンと思われる魚を取り扱う上で必要なのは直接手で触れないこと。魚を掴むために開発されたホールドツールを利用して魚達に触れて危険を避けましょう。
アナタは仏様!釣れた魚は優しく扱おう!
釣りは遊びで命を弄ぶ行為という意見も否定はできません。しかし、釣りをしている以上、命と常に関わり合う意識を釣り人の一人一人が持つ必要があります。例え、嫌いな魚とはいえ、命を粗末にするような行為はマナーに反すると言えるでしょう。もしも、嫌いな魚が釣れた際には優しくその場の海へと帰してあげますようにお願いします。