赤潮(あかしお)の原因とは?魚に起こる影響と釣りとの関係性

海が血の色のように真っ赤に染まる現象「赤潮(あかしお)」

近年では、あまり見ることができなくなってきましたが、数年に一度は大規模な「赤潮」が起きているだけでなく、閉鎖的な環境、水域であれば常に起こりうる可能性があります。

また、赤潮は高度経済成長時代の名残りとも言われており、工場から排出される栄養価の高い成分によっておこる富栄養化であり、排出先に近い河口や沿岸付近で起こる場合が多く、人の視野に入りやすいため、時々、ニュースでは大々的に取り上げられています。

今回、紹介するのは、赤潮(あかしお)が発生する原因と釣りとの関係性、また、魚に起こる影響について。もしも、赤潮を見かけた時はこの記事を思い出し、赤潮についての理解を深めて頂ければと思います。

そこで、レポ部では・・・
赤潮(あかしお)の原因とは?魚に起こる影響と釣りとの関係性
をレポートします。

赤潮(あかしお)とは

赤潮(あかしお)は、プランクトンの異常な増殖によって海が赤色に染まること。工場から排出された栄養価の高い成分が原因で植物プランクトンが異常的に増殖してしまうことにあります。規制が薄かった高度経済成長時代には赤潮が頻繁に発生し、大きな漁業被害が出ています。瀬戸内海では一種の公害「瀕死の海」として呼ばれた時代があります。

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プランクトン図鑑

出版社:技術評論社
大型本:図鑑
ページ:136

プランクトンが画像付きで紹介されたプランクトン専門図鑑。全136ページにまとめられたプランクトンの数々。小さいプランクトンだけでなく、大型のプランクトンの姿まで。美しい写真と可愛らしいイラストでプランクトンのお勉強をしましょう。

赤潮が発生する原因

プランクトンが発生する有名な原因としては生活排水や工場の排水処理による海水の富栄養化。豊富な養分を含んだ海水がプランクトンの増殖を促すというのは有名な話です。しかし、工場、生活排水だけが本当の原因なのでしょうか。これまでに考えられている赤潮の発生原因について詳しく見ていきましょう。

工場、生活排水によるもの

プランクトンが異常発生する原因の一つとしては工場から排出された栄養価の高い成分(窒素、リン等)による海水の富栄養化にあるとされています。高度経済成長期には重化学工業を中心とする製造業が盛んになり、第二次世界大戦後には工業地帯はさらに大きく発展しています。赤潮は高度経済成長期に頻繁に目撃されるようになります。

干潟の減少

高度経済成長期には埋め立ても盛んに行われています。工場地帯、発電所、下水処理場のために都市の拡張として多くの干潟が埋め立てられました。本来、この干潟にも貝類、甲殻類等の生物が生息しており、プランクトンを餌として捕食しています。これらの甲殻類を餌に鳥達が干潟へと集まってきます。埋め立てによる干潟の減少そのものがプランクトンの処理機能を無くし、生物達のライフサイクルを奪ったとされています。

海水温度の上昇

赤潮が発生する原因の一つとして温暖化による海水温度が挙げられます。本来、プランクトンは温暖域に生息しています。地球温暖化によって海水温が上昇することで繁殖力が高まり、異常増殖を行うとされており、近年では、函館や秋田県以北の海でも赤潮を発生される植物プランクトンの存在が確認されています。

海水の流動量の低下

赤潮の発生理由の一つとして取り上げられているのは海水の流動量の低下。護岸工事や埋め立てによって海水の流れる道が妨げられ、海水の流動量が低下することでプランクトンが停滞し、これが原因でプランクトンの異常発生が起きたとも言われています。赤潮と言えば海の沿岸というイメージが強いですが、流量の遅い河川や湖沼でも発生しています。

生物の減少

プランクトンが異常発生する原因の一つは生物の減少によるもの。埋め立てによって、プランクトンを捕食する貝類、多毛類、甲殻類が減少したことも原因として取り上げられています。土地を埋め立てられると生物達の棲み処が無くなるだけでなく、埋め立てることでプランクトンを捕食する生物達の命を奪ってしまいます。

排出規制による赤潮の減少

昭和45年には水質汚濁防止法が制定されました。有害物質の排水基準が規制されると同時に生活環境の保全と国民の健康を守るために裁定された憲法です。水質汚染防止法の排出規制により、書面審査を通し、実際に違反があった場合には罰則が下されます。

赤潮の発生が1/3以下に減少

高度経済成長期は1955年~1973年。昭和45年(1970年)の高度経済成長期を終わりを告げる一歩手前に水質汚濁防止法が改定され、この厳格な審査により、排出規制が見直され、高度経済成長期と比べて、赤潮の発生が1/3以下に減少しています。

参考 農林水産省

魚が死んでしまう理由

赤潮が発生した場所では生物の死骸がよく発見されます。それは、お魚に限ったことでは無く、甲殻類、貝類も同じこと。では、何故、プランクトンが異常発生した場所で生物が活動できないのか、本来は、生物達の餌となるべきプランクトン。その秘密に迫ります。

毒性プランクトンによる中毒死

プランクトンの中には有害なプランクトンが存在します。この有害なプランクトンが大量に発生してしまうと有毒プランクトンを大量に摂取した生き物は力尽きてしまいます。また、これらの有害プランクトン(有害藻類ブルーム)を餌にする甲殻類や魚類も存在するものの、毒素が体内から排出されず、蓄積されるため、万が一、人間の体に毒素を取り込んだ個体を食べてしまうと人間の体にも何かしらの支障をきたすと言われています。

酸素不足による窒息

プランクトンが異常発生してしまうと海中の酸素量が著しく低下します。つまり、赤潮は一種の窒息状態を生み出してしまい、周辺の魚達は酸素が足りず、窒息状態に陥ってしまいます。窒息状態になった魚は空気を求め、水面に上昇し、それでも水中に溶け込んだ空気が足りず、窒息死してしまう個体もいます。

鰓(エラ)の機能障害

魚達は鰓(エラ)の役割は呼吸。水中の酸素を取り込み、二酸化炭素を排出する人間の肺と似た役割を持っています。しかし、人間のように隠れている訳ではなく、酸素を取り込むために鰓を開閉させることで機能を果たしています。異常発生したプランクトンの海では呼吸する度に鰓の間にプランクトンが挟まることで機能障害を起こしてしまいます。機能障害と酸素量の低下により、魚達は窒息状態を生み出してしまうと考えられています。

プランクトンの死骸による有毒細菌の発生

酸素が必要なのは魚達だけではありません。プランクトンも酸素が無いと息絶えてしまいます。窒息死したプランクトンの死骸が腐敗することで有害な細菌を出し、その細菌が海に混ざり込むことで生き物にダメージを与えてしまいます。魚達は海水と一緒にプラントンを吸い込んで捕食するため、死の養分を摂取していることになります。

赤潮の時に魚は釣れるの?

冒頭でも解説した通り、赤潮は沿岸に出ることが圧倒的に多いため、釣りを行う際に赤潮に遭遇してしまうことも無いとは言い切れません。前項目で解説した通り、赤潮は酸欠状態を作るため、生物の命を奪ってしまいます。この当たり前と感じる自然な解釈こそ、釣り人を赤潮から遠ざけている要素であり、赤潮の際での釣行では抵抗感が生まれてしまう一つの原因となっています。

プランクトンの死骸による毒素の放出

赤潮では腐敗したプランクトンが沈下し、分解しきれずに海底へと蓄積してしまいます。この時、この腐敗したプランクトンは魚達の養分となる他、有害なメタン、硫化水素となり周辺へと放出され、その赤潮の発生した場所から魚達が離れてしまいます。

赤潮の発生の根本的な理由

赤潮の発生原因が重なった高度経済成長時代は時代の流れが速すぎて人類の進化だけに意識が集中してしまい、海の生き物のことは考えなかった悲しい時代でもあります。現在では工場の排出規制が進み、赤潮が発生しにくい状況を維持しています。しかし、安心はできません。赤潮の発生原因は原因の重複にあるとも言われており、これらの発生原因が重なるだけで赤潮の発生リスクが高まってしまいます。生き物達の命と人類の進化の平行線を辿るような仕組みをこれからも促し続ける必要があるでしょう。

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