お魚を食文化とする日本。はるか昔からその食文化は受け継がれてきました。焼き物から揚げ物、生魚をそのまま頂くお刺身や酢飯と合わせた握り寿司まで。日本は様々な国の中でも世界有数の魚食大国だと言えるでしょう。
一方、お魚を食べるにあたって注意すべき点もあります。それは、食中毒です。ヒスタミン中毒は中毒の中でも厄介と言われる食中毒。今回は、一般のご家庭内でも起こりうるかもしれない「ヒスタミン中毒」について注目していきます。
もくじ
ヒスタミン中毒とは?
ヒスタミン中毒とはアレルギー様の食中毒。ヒスタミン中毒に侵されてしまうと「じんましん」や「みずぼうそう」のようなブツブツが出てきます。発症する時間は、数分から二、三時間という短い間。悪心、嘔吐、下痢、腹痛、頭痛、所々の腫れ、めまいといった症状をおこします。心臓や呼吸器に基礎疾患のある方や持病をお持ちの方がヒスタミン中毒を発症した場合、重症となる可能性があるので注意が必要です。
ヒスタミン中毒は何故起こるのか
ヒスタミンはヒスチジンにヒスタミン産生菌の酵素が作用することで生まれます。ヒスチジンは体内で合成が可能なアミノ酸で魚達の体内にも存在します。ヒスタミン産生菌が発育しやすい温度は低温細菌(0℃~18℃)と中温細菌(30℃~38℃)に分別。低温細菌では冷蔵庫の中に入れていても発育する可能性があるので徹底した管理を行いましょう。
ヒスチジンを多く含む代表的な魚達
ヒスタミン中毒はヒスチジンが多く含まれる赤身魚が原因で起こることがほとんど。そして、ヒスタミンは加熱では死滅することがありません。そこで、食べ過ぎによってヒスタミン中毒を引き起こす可能性のある魚達を幾つかピックアップしてみました。
サバ
焼き魚、煮魚、寿司、〆鯖、なれ鮨などの料理で親しみのあるサバ。食中毒の他に寄生虫(アニサキス)による被害の報告があります。ただ、丸々と太ったサバは美味。ジューシーな脂とサッパリとした食感を楽しむことができます。
マグロ
赤身魚の代表とも言えるマグロ。日本は世界で生産されるマグロの四分の一を消費するほどのマグロ大国。その消費されるマグロのほとんどが刺身に使われます。マグロの体には部分毎に名前が決められていて、中でも、よく脂の乗った大トロ・中トロは絶品です。
カジキ
トローリング等のスポーツフィッシングのターゲットとして親しみのあるカジキ。ヒスタミン中毒の報告が多い魚でもあります。小魚を追いかけ回して槍のような上顎で獲物を刺し、弱ったところを捕食します。水中における最速のスプリンターや水中のスピードスケーターとも呼ばれているほどに疾走力があります。
カツオ
サバ科に属する魚の一種。カジキと同様にヒスタミン中毒の報告が多い魚でもあります。マルソウダは血合い部分にヒスタミンが多く含まれていて、逆にヒラソウダは血合い部分が少なくヒスタミンも少ないとの情報が寄せられています。
イワシ
お刺身、塩焼き、フライ、天ぷら、酢の物、煮付けなどの料理で親しみのあるイワシ。日本の食卓でも並ぶことの多い馴染みある魚です。イワシを使ったダンゴ汁は絶品。イワシのコクを存分に堪能することができます。
サンマ
北太平洋に広く生息するサンマ。ヒスタミン中毒の報告がある魚でもあります。サンマといったら焼き魚。網でサンマを焼き、団扇でパタパタ。火加減の調整に半日時間を掛けていた昭和を思い出します。
ブリ
大物釣りのターゲットとして親しみ深いブリ。カジキやカツオと同様にヒスタミン中毒の報告が多い魚でもあります。ブリと言えば煮付けやお刺身。煮付けは脂の乗ったプリプリ感を味わうことができ、お刺身はコリコリとした食感を楽しむことができます。
アジ
釣りのターゲットとしてお馴染みのアジ。日本ではアジが重要な食用魚。様々な加工品や料理に使われています。ただし、寄生虫(アニサキス)やヒスタミン中毒の報告もあるだけに注意が必要です。馴染みある魚だからこそ、油断せずに徹底した管理を行いましょう。
ヒスタミン中毒を防ぐには?
ヒスタミン中毒を防ぐには常温を避けて冷蔵、冷凍庫に保存すること。ただし、冷蔵庫の場合でも低温細菌であれば十分にヒスタミンが生成される可能性があります。できるだけ、ヒスタミンが生成される前に早期に召し上がるのが理想だと言えるでしょう。
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温度管理が重要!速やかに冷蔵庫に保管!
いかがでしょうか。ヒスタミンが含まれる量は個体によって異なります。ヒスタミン中毒に侵されてしまえば苦しい思いをすることには変わりありません。危険なサインが出たらためらわずに医療機関への診察を行うようにしてください。