チニングはクロダイを目的として釣るルアーゲーム。クロダイの引きは強く、食べても美味しい魚であることからチニングは今まさに注目を集めているルアーゲームです。チニングの操作は至ってシンプル。表層付近のクロダイを狙うトップウォータープラグ、また、海底を軸に狙うラバージグの操作も簡単に行うことができます。
今回、紹介するのは、チニングの釣り方から仕掛け、アクションについて。ルアーゲーム入門者の方はチニングの基本とノウハウを仕入れ、今後のチニングに役立ててみてはいかがでしょうか。
もくじ
チニングとは?
チニングは冒頭でも解説した通り、クロダイを主旨として捉えたルアーゲームです。沖合にいる真鯛とは違ってクロダイは河口や堤防等の身近な釣り場での目撃情報が多い魚。この身近なクロダイをルアーゲームで気軽に狙うことを目的とした画期的な釣り方です。
チニングで釣れる魚達
釣れる場所
何も沖合に出る必要はありません。クロダイは岸上から釣ることができる魚。また、チニングは陸っぱりから狙える気軽な釣り方です。クロダイがいる釣り場を予め知っておけばチニングを有利に進めることができます。そこで、クロダイが釣れる場所に注目します。
河口
河口はクロダイがいるポイントの一つ。海水と淡水が入り込む河口はクロダイの絶好のポイントとして知られています。フカセ釣りや紀州釣り、ヌカ釣りの最高のポイントとして知られ、多くのチヌ釣り師が河口でクロダイを狙っている姿を見ることができます。
河川敷
河口に近い河川敷もクロダイが住んでいるポイント。水深が浅い河川敷では群れて泳ぐクロダイの姿を水上から眺めることができます。また、水深が深い場合は居付きのクロダイが水底で姿を隠している可能性も。そのクロダイの大きさもGood!
河口沿いの堤防
河口と繋がっている堤防もクロダイのポイントです。よく釣りでは「堤防の先端が良ポイント」と言われがちですがクロダイの場合は先端に拘らなくても大丈夫。堤防の内と外、両方のポイントのキワをじっと見てみましょう。クロダイがいる堤防にはキワに沿ってクロダイが泳ぐ姿を見ることができますよ。
漁港
漁港もクロダイがいる可能性があります。しかし、経験上、漁港は小さなクロダイが多いように感じます。その漁港の海底の地形が藻帯、または、岩ガニ等のクロダイの餌が豊富であればクロダイが居付きやすいポイントであることは間違いないでしょう。
チニングのシーズン
チニングのベストシーズンは産卵時期に接岸するクロダイを狙った春の釣り。また、体力を使い果たした春後を超え、梅雨を迎えた時期から活発化し出す夏から秋の釣りに分けることができます。産卵のために接岸するクロダイは良型が多いのも魅力です。
釣りやすい季節は?
一番におすすめする季節は梅雨を超えた夏から秋にかけて。のっこみのシーズンとも呼ばれる春の季節は産卵のために接岸し、荒食いを行うクロダイを狙うシーズン。この時期のクロダイは大量に釣れることも珍しくはないので多くの釣り人がクロダイを目当てに河口に集まるシーズンです。また、産卵時期を経過し、夏から秋にかけては産後の体力温存時期を終えてクロダイの活動が強まります。積極的に釣りを行いましょう。
釣れやすい時間帯は?
クロダイは日中、夜間の両方で釣ることができます。基本は朝マズメ、夕マズメの捕食時間を基準に釣りを行うこと。ただ、夜行性に近い魚からか日没時での釣果が目立ちます。時間が限られている、または、効率の良い釣行を行いたい方は夕マズメを基準としてチニングを行うと良いでしょう。
朝マズメ:夜が明けて明るくなり始めた時刻から日の出までの時間
夕マズメ:日没前後から暗くなるまでの時間
チニングの竿の選び方
チニング用の竿の多くは繊細でしなやかに曲がるディップが使われています。これは、クロダイの当たりを弾かないため、また、突くように食べるクロダイの捕食性から考えられたこと。つまり、多くのチニング専用ロッドは「先調子」に設定されています。
チニングのリールの選び方
- 2500番
- 3000番
チニング入門者におすすめするリールはスピニングリールの2000~3000番。ベイトリールと比べ、キャスト時のトラブルが少なく、また、釣りに始めてチャレンジする方でも扱いやすいリールです。ベイトリールは巻き上げる力や操作性が快適である一方、トラブルも多いリール。逆にスピニングリールはベイトリールのように複雑な操作は必要ありません。また、トラブルを起こせばトラブルの対処に追われることになります。ベイトリールを利用すると、きっと、トラブルばかりで釣りが嫌いになってしまうことでしょう。
ハイギアとノーマルギアのどちらを使えばいいの?
チニングに利用するスピニングリールはノーマルギアをおすすめします。ラバージグを利用したチニングではズル引きを基本として誘います。また、トップウォータープラグを利用した釣りでは巻き速度の強弱や間に入れるアクションを行わなければなりません。ハイギアタイプは巻き上げ時の速度は速いのでズル引きを基本としたチニングでは少々やりにくさが残ります。また、アクションも大きくなってしまうのでノーマルギアで小刻みに。そして、ズル引き時のアクションを行いやすい様にノーマルギアタイプのスピニングリールを選択することをおすすめします。
チニングのラインの選び方
チニングではメインラインの先にショックリーダーを直結させて利用する方法とフロロカーボン、ナイロンライン単体で利用する方法の二通りが考えられます。おすすめするラインシステムはメインラインにショックリーダーを直結する方法。リーダーを変更するだけで柔軟なラインシステム、また、丈夫なラインシステムへと変更することができるので釣れているクロダイのサイズに合わせたラインサイズをチョイスすることができます。
チニングのメインラインは?
- 0.8号
- 1.0号
チニングのメインラインとしておすすめするのはPEライン。 ナイロン、フロロカーボンよりも強度が高く、伸びが全くありません。つまり、クロダイの当たりを瞬時に捉えることができ、合わせへと繋げることができます。また、PEラインはフロロカーボン、ナイロンと比べて比重が軽いので飛距離において他のラインよりも優位に立つライン。チニングを行う上で複数のメリットを備えた万能ラインと捉えることができるでしょう。
チニングのショックリーダー
- 10lb
- 12lb
PEラインは飛距離、伸びの無さ、強度の三つにおいて他のラインを寄せ付けない強さを持っています。しかし、少しの傷でラインが切れてしまうラインの貧弱性がデメリットとして挙げられます。トップウォーターでは障害物との接触は気にする必要が無いように思えるものの、ラバージグを利用したチニングでは海底に頻繁にアクセスすることになります。つまり、その地形が凹凸の入りぐむ地形であれば少しPEラインが接触しただけで傷が入ってしまい、その傷が理由でラインブレイクを引き起こしてしまいます。そのデメリットを補うのがショックリーダーです。ショックリーダーはPEラインの伸びの無さを活かすために伸びが少ないフロロカーボン製のショックリーダーを利用します。
チニング用のルアーとは?
チニングに利用するルアーは大きく分けて四種類。トップウォータープラグかラバージグ、ミノー、バイブレーションです。トップウォータープラグは海面付近のクロダイや浅瀬のクロダイを狙ったハードルアー。また、ラバージグは海底付近のクロダイを狙ったルアーです。それぞれのルアーの特徴について注目していきましょう。
海底を軸に狙うとき
海底を軸に狙うときは沈下する性質を持ったルアーを利用します。チニングではラバージグやバイブレーション、ミノーの三つがよく利用されています。それぞれのルアーの特徴と使い方について簡単に解説していきましょう。
ラバージグ
バイブレーション
シンキングミノー
表層を軸に狙うとき
トップウォータープラグとは水面付近や浅いポイントに潜むクロダイを効率的に誘えるルアーのこと。ラバージグのように沈まずに水面を漂わせることができます。もちろん、水面を移動するので浅いエリアを除いたポイントでは根掛かりが起こる心配もありません。チニングでよく利用されるトップウォータープラグを紹介していきましょう。
ホッパー
ペンシルベイト
サーフェスクランク
チニングのアクション方法
チニングのアクション方法はただ巻きをベースとしたアクション。シンプルにクロダイを誘うことができるのでチニング入門者の方はご安心ください。 トップウォータープラグとして利用されるホッパーやペンシルベイト、クランク系のルアー、また、沈下系のバイブレーションやシンキングミノーは余計なアクションを行わなくてもよく動いてくれます。それぞれが独特な動きを持っているのでただ巻きだけで自然に強みを発揮できるように設計されていると言っていいでしょう。しかし、アクションを付けることで規則的な動きに不規則な動きを与えることができるようになります。この動きこそがルアーそのものに生命感を与える秘訣。そこで、チニングに有効的なアクションをご紹介します。
ただ巻き
- バイブレーション
- シンキングミノー
- ホッパー
- ペンシルベイト
- サーフェスクランク
チニングの基本アクションです。トップウォータープラグ、ラバージグ共に全てのルアーで利用できます。トップウォータープラグは水面を。また、ラバージグやバイブレーション、シンキングミノーは広い範囲を引くことができます。
ストップ&ゴー
- バイブレーション
- シンキングミノー
- ホッパー
- ペンシルベイト
- サーフェスクランク
ただ巻きにメリハリを付けたアクションです。一定の速度でルアーを引き、一定の秒数でルアーを止めます。止めたタイミングでクロダイは食べてきます。シンプルながら効果は抜群。トップウォータープラグはもちろん、ラバージグやバイブレーションでも利用することができます。リールを巻く速度や止めるタイミングを調整しましょう。
ズル引き
- バイブレーション
ズル引きはチニングの基本動作の一つ。チニングでよく使用されるラバージグやバイブレーションを始めとした沈下系のルアーの基本的なアクションです。海底にルアーを着底させると同時に引いてきます。チニングではゆったりとした速度でリールを巻くことでクロダイのついばむような当たりを敏感に捉えることができます。
リフト&フォール
- バイブレーション
- シンキングミノー
リフト&フォールは魚の捕食反応を利用した効果的なアクションです。 クロダイを含めた多くの魚は餌の沈下中に餌を食べます。この捕食反応を利用した釣り方がリフト&フォールです。竿先を一回だけ上げると同時にリールで糸ふけを回収するだけ。この一連の動作を繰り返します。リフト(ルアーを上昇)させてクロダイに餌と目視させ、フォール(ルアーを下降)することで捕食反応を利用して釣ります。
シェイク
- バイブレーション
- シンキングミノー
シェイクはシェイキングとも呼ばれるアクションです。クロダイの影が濃いポイントではシェイクが有効的。ちょこちょこと竿先を動かすことで周りのクロダイへとアピールします。周りのクロダイが寄ってくればちょこちょこと突いて食べてきますよ。
ボトムバンピング
- バイブレーション
ボトムバンピングは着底させたルアーを跳ねさせるアクションのこと。竿先を一、二回煽ることでルアーを跳ね上げ、クロダイへと存在をアピールします。竿先の上げ加減によって跳ね上げる加減と周りへのアピール力を調整することができます。
ドッグウォーク
- ホッパー
- ペンシルベイト
ドッグウォークは糸ふけを利用したアクション。ルアーが左右に首を動かし、水面を叩きながら動きます。釣り糸を張った状態で竿先を少し上げて糸ふけを巻き取りながら竿先を元の位置に戻します。後は繰り返し。細かくリズムよくアクションを行いましょう。
クロダイを狙って釣りに出かけよう!
チニングではトップウォーターでの釣りと海底を狙った釣りの二通りのパターンが存在します。それぞれの釣り方をマスターすることができれば大抵のクロダイを疑似餌で誘い出すことができるでしょう。チニングはクロダイの強い引きを楽しめるだけでなく、その釣れた新鮮なクロダイを美味しく頂くことができる釣法です。貴重な体験をチニングを通して経験してみてはいかがでしょうか。