メバリングはメバルを主旨として釣るルアーフィッシングの一つ。根魚の一種であるメバルは臆病な生き物で日中は水深の深い “岩場” や “藻の側” で隠れて過ごしています。しかし、マズメ時になると隠れ家からひょっこりと顔を出し、餌を求めて外出していきます。
日中、夜間の両方で楽しめるメバリング。このメバリングという釣法はシンプルな仕掛けで楽しめるルアーゲームで、女性の方やお子様でも仕掛けを自分で組み立てて楽しむことができます。数あるルアーゲームの中でも入門者の方に優しい釣法だと言えるでしょう。
今回、紹介するのは、メバリングのタックルから仕掛け、メバルの釣れる時期やポイントについて。メバリング入門者の方に分かりやすいように図を交えながら紹介します。
もくじ
メバリングとは
メバリングはメバルを主旨として釣るルアーゲームです。メバリングはライトゲームの一種で軽いタックル構成を用いた釣り。1500~2500番と軽いリールを用い、釣り竿は細く繊細な物、また、釣り糸も細く、疑似餌もタックルに見合った軽い物を選択します。
メバルだけ?他のお魚は釣れないの?
メバリングの季節、時期
メバリングに適した季節は冬から春にかけて。抱卵した大型のメバルが接岸する12月~1月にかけて、また、産卵後の休憩時期を終えた春先のメバルは活性が上がり、第二の捕食シーズンに入ります。ここで体力を付けて水温が上がる夏にはメバルは沖へと帰っていきます。それぞれの季節、時期を詳しく見ていきます。
春(3、4、5月)
春はメバリングのハイシーズン。産卵後の食いの落ちから体力を回復したメバルが沖合へと向かう体力を付けるために餌を大量に捕食します。この時のメバルを「春メバル」と呼ばれています。この時期にメバルが釣れ出すことから「春告魚」として知られています。
夏(6、7、8月)
水温の上昇と共に多くのメバルは岸から沖へと旅立ってしまいます。しかし、絶対に釣れないということではありません。一部の環境に適応した個体は “居付きメバル” として現環境に留まります。夏場に釣れるのは条件が良い、または、重なったメバル。ただ、多くのメバルは沖へと移動するため、満足した釣果が得られないことがほとんどです。
秋(9、10、11月)
このシーズンは小さいメバルが入り混じる季節。しかし、秋初期となる水温が高く、メバルの適正水となる12~16℃を満たしていません。10月後期から小針にメバルが突くようになります。11月、12月になると抱卵した個体が接岸するようになるものの、まだまだ、我慢の季節と捉えることができるでしょう。
冬(12、1、2月)
メバリングのハイシーズンとも言える冬の季節。産卵のために接岸した抱卵個体、また、大型のメバルが釣れるシーズンです。12月から1月にかけての一か月。この時期に多くの釣り人がメバリングを楽しみます。この時期の水温はメバルの適水温とマッチ。メバリングを始める上で欠かせないシーズンと捉えることができるでしょう。
メバルが釣れるポイント、場所
メバルが釣れるポイントは「日中」か「夜間」によって大きな差が出ます。日中のメバリングでは “影” になるポイントを探る必要があり、また、夜間のメバリングではメバルが明かりに集まる習性を利用して “常夜灯” や “灯台” の明かりに照らされたポイントを狙います。それでは、メバリングでの日中と夜間のポイントに詳しく迫ります。
日中のメバリング
- 船の影
- テトラポット
- 岩と岩の隙間
- 地磯
- 消波ブロック
- etc
日中のメバルは引きこもり。岩と岩の間、藻と藻の隙間、人工的に作られたアスファルト等の隙間に隠れて過ごしています。日中のメバリングのポイントは「影」になる場所。メバルが隠れていそうなポイントを見つけ出し、根掛かりを恐れずに攻めてみましょう。
夜中のメバリング
- 灯台の明かり周り
- 集魚灯周り
- etc
夜中のメバリングは出たがり屋。隠れていたメバルは夜行性であるため、夜中に行動を始めます。夜間のメバリングは「常夜灯」や「灯台」の明かりに照らされた水面がポイント。明かりに照らされたプランクトンや小魚を求め、捕食しにくるので絶好のポイントとなります。積極的にアタックしてみましょう。
メバリングの仕掛け
メバリングに利用する仕掛けは釣り糸の種類によって変わります。現状のメバリングでは「フロロカーボンライン」「PEライン」「ナイロンライン」と、それぞれの三種類の釣り糸に沿った仕掛けが登場しています。メバリングの仕掛けをより明確にするために釣り糸の種類毎にメバリングの仕掛けを分けてみました。
フロロカーボンライン(初心者向け)
メバリング入門者の方におすすめするのはフロロカーボンラインを使った仕掛けです。メバルのいるポイントはゴツゴツとした凹凸の多い場所なので、釣り糸が擦れてしまうと切断されてしまう恐れがあります。フロロカーボンラインは頑丈な釣り糸なので凹凸のあるポイントでも安心して利用することができます。
ナイロンライン(初心者向け)
コストパフォーマンスを求める方にはナイロンラインをおすすめします。ナイロンラインは適度に伸びる性質を持った釣り糸です。また、釣り糸に張りがあるのでキャスト時のトラブルが少なく、メバリング入門者向けの釣り糸だと言えます。しかし、劣化が激しいため、日々のメンテナンスが必要な他、比重が軽いために軽量のジグヘッドを利用した際には沈みが悪く、海底へと到達する速度が遅いデメリットを持っています。
PEライン(中級~上級者向け)
メバリングに慣れてきた方はPEラインを利用した仕掛けをおすすめします。PEラインは軽い釣り糸。ジグヘッドを投げる際には釣り糸の重さがネックにならず、より遠くへと仕掛けを飛ばすことができます。また、伸びない性質を持った釣り糸なので、メバルのアタリがより強く手元に伝わります。楽しみが増える釣り糸と捉えることができるでしょう。
竿、ロッドの選び方
メバリングはライトゲームの一種なのでゲーム性を意識して作られており、メバルの啄むようなアタリを楽しめるように細い竿で設計されています。また、メバルは魚の中でも警戒心が強いお魚として知られており、出来るだけ、メバルに違和感を抱かせないように針掛かりを遅らせるソリッドタイプの穂先が使われています。
ソリッドディップとは
ソリッドディップとは穂先に空洞が無く、詰まっていること。ソリッドタイプの穂先は柔軟に曲がることで、お魚のアタリを弾きづらくすることができ、お魚が居抱く違和感を遅らせることができます。メバリングの多くはソリッドタイプの穂先が利用されています。
チューブラーディップとは
チューブラーディップとは穂先が空洞になっていること。穂先が空洞だと張りが生まれるのでアタリが弾きやすくなる一方、一貫した竿の構造によって感度が高くなります。また、キャスト時の負荷に強いため、より重たいルアーを扱うことができます。メバルプラッキング等のプラグを利用した釣法ではチューブラーディップが利用されています。
リールの選び方
メバリングでは小型~中型のリールを使用します。複雑なアクションを必要としないメバリングの多くはタダ巻きを利用してメバルを誘います。大型のリールだと、リールの重さが体の負担になり、操作性が悪くなる他、一回転の巻き取り量が多いためにリールを巻く速度が調整し辛いだけでなく、微調整も利きにくくなってしまいます。メバリングでは1500~2500番までの小型のリールを選ぶようにしましょう。
釣り糸、ラインの選び方
メバリングは釣り糸の違いが大きく影響し、釣り糸の性質と上手く付き合う必要があります。メバリングで利用される釣り糸は「ナイロンライン」「フロロカーボンライン」「PEライン」の三つ。それぞれの釣り糸が持つ性質を知り、ご自身に合った釣り糸を上手く選択するようにしましょう。
ナイロンライン
ナイロンラインはポリアミドを素材とした釣り糸です。釣り糸の中ではコストパフォーマンスが良く、適度に伸びる性質がクッションの役割を果たし、よりメバルに対し、違和感を与えにくく、ソリッドティップの穂先との相互作用により、より自然な食い込みを助長できるとされています。しかし、一度、海水に浸けると劣化が激しく、痛みが激しいために日々のメンテナンスを怠ると次回の釣行時に糸切れが発生する可能性が高くなります。
フロロカーボン
フロロカーボンラインはポリフッ化ビニリデンを素材とした釣り糸です。伸びが少ないために手元に伝わる感度が良く、釣り糸そのものが硬いために根に対するスレや摩擦に強い性質を持っています。メバリングは「底」を取ることが大前提。釣り糸が弱いと直ぐに切断されてしまう可能性もあります。フロロカーボンラインはそのようなライントラブルを少しでも減らすために考案された釣り糸です。
PEライン
PEラインはポリエチレン素材の複数の糸を束ねた釣り糸です。PEラインそのものは全く伸びません。つまり、手元に伝わる感度がフロロカーボンラインよりも高いため、手元に伝わるアタリを楽しみたいと思われる方におすすめします。しかし、複数の素材を束ねた釣り糸であり、そのうちの一本が傷付いて切れてしまうと強度が落ちてしまいます。別途にフロロカーボン製のショックリーダーをPEラインに直結し、フロロカーボンの硬さを取り入れた上でPEラインを利用することで根ズレを未然に防ぐことができます。
ショックリーダーの選び方
メインラインにナイロンライン、フロロカーボンラインを使用する場合はショックリーダーは必要ありません。しかし、PEラインをメインラインとして使用する際には、ショックリーダーと呼ばれる補助糸が必要になります。ショックリーダーの役割はメインラインのデメリットを補うこと。PEラインは傷付くと切れやすい性質を持っています。このデメリットを補うためにフロロカーボンで作られた頑丈なリーダーをPEラインに直結します。
ワームの選び方
メバリングで使用するワームは “ソフトワーム” を利用します。また、メバルは違和感を抱きやすい魚と元来から言われており、過度に存在を示す、アピール力の強いワームはメバルには逆効果となります。その反面、柔らかいマテリアルで設計されたソフトワームは食い込みが良いだけでなく、存在感を示しすぎないことからメバリングではよく利用されています。それでは、メバリングで利用される有名なワームに注目していきましょう。
ベビーサーディン
メバル職人
ジグヘッドの選び方
メバリングのジグヘッドは “シャンクが長く設計” されています。これは、メバルの啄むようなアタリをジグヘッドの後方で捉えるようにするためです。逆に、シャンクが短く設計されている物は瞬間的なバイトを捉えるように作られています。フォール動作の際の食い付き、リアクションバイト等、ガツンと捕食するようなアタリに有効的です。
メバル弾丸
流弾丸
メバリングのアクション
メバリングの基本的なアクションは “タダ巻き” です。また、海底の隠れ家を住処とするメバルを誘う上でレンジキープ(層の維持)が重要でレンジキープが出来なければメバルの住処から徐々に別の層へとルアーが離れていくことに。重要なのは、自分が今、どの層を探索しているのか。頭で海の中の想像を膨らませながらメバリングを楽しみましょう。
リトリーブ(タダ巻き)
タダ巻きはリールを巻く一連の動作を言います。メバリングの主要のアクションで、レンジキープが取りやすく、ゆったりとした動作を行うことでメバルの視界にルアーを入れることができます。余計なアクションはメバルに違和感を与えてしまう可能性があるので、ゆったりとしたタダ巻きは有効的なアクションだと捉えることができるでしょう。
テンションフォール
メバリングではテンションフォールも有効的なアクションの一つ。釣り糸のテンション(張り)を維持し、手前へとルアーを沈下させます。タダ巻きをしていると岸に近付くにつれてルアーが上へ上へと上昇します。メバルの層である海底よりも上の層へ上がってしまったらテンションフォールを試してルアーを元の層へと落としてみましょう。
リフト&フォール
メバリングではリフト&フォールも多用するアクションです。特に、海底はゴツゴツとした地形でメバルもこのような複雑な地形を好むことから、ルアーを利用していると必然的に根掛かりを起こしてしまいます。メバルが住んでいそうな凹凸のある地形を探索するアクションとしてリフト&フォールは役立ちます。ルアーを上昇(リフト)させ、沈下(フォール)させる。この一連の動作をリフト&フォールと呼びます。
メバリングを楽しもう!
メバリングはアジングに次ぐライトゲームとして開発されました。しかし、メバリングを楽しむ方はアジングに比べると、まだまだ少ないと感じています。メバリングの楽しさを世の中に広げるために。この記事の内容がお役に立てれば幸いです。